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アートの節税、日本ではいくらまで?金額ごとに変わる「美術品購入」の税務処理

  • Writer: Fuh-mi
    Fuh-mi
  • 9 minutes ago
  • 5 min read

日本におけるアートでの節税:なぜ「金額別の扱い」が重要なのか?


アートは美しいだけではありません。日本では、金額によって節税効果が大きく変わる「減価償却のルール」が存在します。


企業がアート作品を購入した際、その作品が「消耗品」としてすぐに経費計上できるのか、「資産」として複数年にわたって減価償却すべきか――これは、作品の取得価額(購入金額)と使用目的に大きく依存します。


以下では、国税庁や税理士法人の公開情報をもとに、金額帯ごとの処理方法と注意点をまとめました。



10万円未満 — 消耗品費として即時経費計上


取得価額が1点10万円未満のアート作品は、一般的に「消耗品費」として当年度中に全額経費化できます。


 ポイント

• 「耐用年数が1年未満」「すぐに価値が失われる」と見なされやすい作品(例:小型の額装作品など)なら対象になりやすいです。

• 同一年に何点でも購入可能(ただし、それぞれ10万円未満であること)


 例:

• 額装書作品(¥88,000)→消耗品費として即時経費化



20万円未満 — 一括償却資産として3年均等償却も可能


20万円未満のアート作品は、一括償却資産として処理できる可能性があります。これは、取得年から3年間に分けて1/3ずつ経費化する方法です。


 メリット

• 管理が簡単で、耐用年数を細かく見積もる必要がありません。

• 高額すぎない作品で、法人がまとめてアート導入を進める場合に便利。


例:

• 掛軸作品(¥180,000)→3年に分けて経費計上



30万円未満 — 少額減価償却資産として即時償却できる場合も


青色申告の中小企業などは、1点30万円未満の資産を全額その年に経費化(即時償却)できる制度があります。


 適用条件(2024年時点):

1. 青色申告を行っている法人または個人事業主であること

2. 資本金1億円以下、または従業員1,000人以下の中小企業

3. その年度において、この制度で経費化できる資産の合計金額は300万円まで


 重要な注意点:


この「300万円の上限」は、アート作品に限らず、パソコン・デスク・椅子・照明器具などの事業用備品すべてを含めた合計額です。

つまり、他の資産と合わせて合計が300万円を超えない範囲でのみ、この特例が適用されます。


例:

• 額入りカスタム作品(¥270,000)+ ノートPC(¥150,000) → 合計¥420,000 → 条件を満たせば両方とも即時償却可能(※合計が300万円以内)



100万円未満 — 減価償却資産として処理可能


1点あたり100万円未満の美術品は、原則として減価償却資産として認められます


 減価償却のポイント

• 「価値が時とともに減少することが合理的に見込まれる」作品であること

• 使用目的が**業務用(オフィス・応接室など)**であること

• 耐用年数は素材によって異なる(例:金属彫刻なら15年、紙作品や陶器などは8年)


例:

• デニムに書かれた書作品(¥900,000)→8年償却



100万円以上 — 原則として減価償却できないが例外あり


1点100万円以上の美術品は、原則として「非減価償却資産(資産価値が減らないもの)」として処理されます


ただし、国税庁のガイドラインにより、以下のすべてを満たす場合は減価償却可能となる場合があります:

1. 不特定多数が利用する施設(会館やホールなど)に装飾用として設置

2. 移設が困難で、当該用途専用とみなされるもの

3. 他の用途では市場価値がない(転売困難)


→ 通常の書道作品・絵画などは該当しにくく、壁面彫刻や埋め込み型の造作アートが想定されています。



H2-7:金額別早見表(まとめ)

金額帯

処理方法

条件

備考

~10万円未満

消耗品費

すぐに価値が減少すると見なされるもの

即時経費化可能

~20万円未満

一括償却資産

3年均等償却

少額のアート導入向き

~30万円未満

少額減価償却資産

中小企業/青色申告/年間300万円まで

他の資産と合算して上限管理が必要

~100万円未満

減価償却資産

価値の減少が合理的に見込まれること

耐用年数に応じて分割償却

100万円以上

原則:非減価償却資産

特例条件をすべて満たす場合を除く

掛軸などは対象外になりやすい


書家としての現場実感と提案


私自身、これまで企業の受付・役員室・ギャラリースペースに多くの書作品を納めてきました。


中には、

• 「理念を表す一文字」として注文された額装書

• 「一期一会」や「守破離」をテーマにした掛軸

など、経営の軸を表すためのアートが数多くあります。


価格帯としては、30万円未満〜100万円未満の範囲であれば、**「節税効果」+「理念表現」+「空間演出」**という三つの価値を同時に提供できます。



注意事項


※本記事は、一般的な制度の紹介を目的としたものであり、税務アドバイスを行うものではありません。具体的な適用については、必ず税理士などの専門家にご相談ください。



まとめ


アートの節税、日本の税制では金額帯によって明確に取り扱いが異なるということが見えてきます。

• 「インテリア」や「趣味」と思われがちなアートも、

• 正しく位置づければ企業ブランディングの一部として税務上の効果も得られる


まずは、1点10万~30万円台のアートから、**企業の意思や文化を伝える「書の導入」**を考えてみませんか?


👉 ご希望に応じてカスタム作品のご相談も承ります。


On the wall, 3 Japanese calligraphy by Fuh-mi in a luxurious hotel lobby. Each artworks carries silence and rhythm.

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